第12話 イヨマンテの夜

イヨマンテの夜 私が小学生だったある日の午後、ボスはみんなに命令した。(くだんのガキ大将たちより年長のワルあんちゃんがこの日のボスだったような・・・)「ア〇〇を電信柱にくくりつけて、みんなその周りで踊れ!」と。 ア〇〇とはなまずに似た魚の名…

第11話 ボス猿の戦い

ボス猿の戦い その時、私はたぶん小学四年生か五年生だった。私が仕えたガキ大将は三人いた。一番年長の「ノブオちゃん」は別格で、つぎの二人「ひろちゃん」と「そうちゃん」はけっこう仲が悪かった。 「ひろちゃん」が「そうちゃん」よりひとつだけ年上だ…

第10話 江合川の合戦

江合川の合戦 東京オリンピックの一年前、私が小学四年生の頃だった。あの頃は力の強い奴がヒーローだった。それに統率力と遊び頭もそなえた奴がガキ大将になれたのだ。ガキ大将は時々自分の力を皆に示しておく必要があった。仲間うちでの制裁と、他の集団と…

第9話 大変な学芸会

大変な学芸会 担任の次男先生はアイデアマンだった。生徒の自主性を尊重しようと、その年の学芸会に出す六年生の劇は、生徒たちにいっさいを任せようと考えた。「川嶋君、君がしきってくれ」と言われた。先生が選んだ劇の脚本三本のなかから好きなものをみん…

第8話 空を飛んだ話

空を飛んだ話 季節はもう秋、向かい風も強くなってきた。私は、この夏十和田湖へ一緒に向かった同級生の一人と、毎日自転車で高校へ通っていた。片道約8キロ、風のない日や追い風のときはビュンビュン!自転車に勝る快感はないだろう。ところが、向かい風の…

第7話 ちぢんだ自転車

ちぢんだ自転車 高校一年生になったわれわれは、まるで「スタンド・バイ・ミー」だった。「ひと夏の冒険」に出かけたのだ。四人の幼なじみがママチャリで。青森県は十和田湖へと。いっしょの旅仲間は、幼稚園から高校まで、一人とは大学まで一緒だった。(大…

第6話 ガキ大将の失敗

ガキ大将の失敗 私が遊んでもらったガキ大将は三人いる。そのうちもっとも危険な遊びをしたガキ大将は四歳年上の「ノブオちゃん」という。私と同じ名前で紛らわしいが、「オ」の漢字が一字違うだけなのに片や大将、片や二等兵であった。 大きくなってからノ…

第5話 座ったまんま

座ったまんま 「三丁目の夕日」の頃が私たちの幼年時代だった。街は活気にあふれ、子供はとても多かった。その頃、自営で忙しい親たちの大きな期待を受けて開園したのが「さくら幼稚園」だった。 東北地方でも有名な安産の神社「山神(やまのかみ)社」が経…

第4話 ゆきおちゃん

ゆきおちゃん 三年前のある夜、そのころの私は行きつけの小料理屋さんに週二回律儀に出勤していた。もちろん客としてだが。飲み始めてすぐに携帯が鳴った。小学校以来の同級生からだった。 「おう、俺、今、誰といると思う?」彼の声はやけに弾んで楽しそう…

第3話 ベティー先生の涙

ベティー先生の涙 小学校一年から四年まで担任はみんな女の先生だった。一人一人の個性がそれぞれ違うので、思い出のコントラストが鮮明だ。 三年生の時の担任は吉田先生という方だった。小柄で品がよく、着ている服もどこか垢抜けていた。メガネをかけてい…

第2話 支那料ライター

今週のお題「冬の体調管理」 支那料ライター 車で「柳橋○○儀」という葬儀の看板を見かけた。たしか一年くらい前だった。後から小学校四年のとき担任だった柳橋先生であることがわかった。 色白でふっくらとした美人の先生だった。やさしいおっとりした母性的…

第1話 ガキ大将と土手で会う

秋の夕方、土手道を久しぶりに自転車乗りです。八キロ先の実家に向かって。そこには一人暮らしの父が住んでいます。土日は夕食を一緒に食べる習慣です。その土手道で幼い頃のガキ大将と遭遇!会ったとたんに、幼い頃の思い出というか空気が一瞬にしてよみが…