2013-01-01から1年間の記事一覧

第37話 アル中先生

アル中先生 様々な先生たちから様々な影響を受けて免疫力を養ってきた私たち。と、私は心底思っている。ところが、そんなことなど覚えがないとでもいうように、悪口をのたまう同世代がいて嫌になる。「この国が誇りを失ったのは戦後教育のせいだ、日教組のせ…

第36話 いちばん古い思い出

いちばん古い思い出 幼児期の体験が人の一生を無意識に支配する、と心理学はいう。そうなのだろうか?私のいちばん古い記憶を探って、これまでの自分と重ね合わせてみたいと思っている。目をつむって記憶の洞窟、地下の水脈をたどって行く・・・小学校、幼稚…

第35話 幼稚園の相合い傘

幼稚園の相合い傘 昨夜のニュースで八十歳くらいの老老男女が初恋談義で盛り上がっているのを見た。つい、顔がほころんだ。みんなの顔がとても生き生きとしていたからだ。「おらだちのころはキッスなんてねかったのさ。好きなのいだんだけっども、二人してあ…

第34話 エル字の弁当

エル字の弁当 小学校は給食だった。親は「給食さまさま」だったことだろう。でも私たちはといえば、六年間もしょっぱくて硬いコッペパン(形だけ)と、鼻をつまんでしか飲めない脱脂粉乳の昼食に、もうへきえきしていた。パンは次の日になると、もう釘でも打…

第33話 やまうなぎの思い出

やまうなぎの思い出 高校三年生の春休み、同級生五人で「土方」をした。受験勉強で頭でっかち、鬱屈症状となっていた我々にとって、肉体労働は神聖なものに思えていた。親戚の建設会社に頼み、さっそくアルバイトとして使ってもらうことになった。 5人がま…

第32話 天罰てき面

天罰てき面 孫たちがわが家にたびたびやってくる。子供達のエネルギーはすさまじいものだ。なにせ「移動」は常に「走り」だし、いつも汗をぶったらしている。私も子どもの頃から学生時代まで、お袋によくこう言われてはあきれられたものだ。「エネルギー余っ…

第31話 床屋さんで暴れた話

床屋さんで暴れた話 小学校を卒業するまで「やろっ子」の髪型は二種類しかなかった。「坊主頭」か「坊ちゃん刈り」だ。私は「町の子」だったので「坊ちゃん刈り」だった。思い出アルバムを開いたら、白衣の床屋さんが写っていた。小学校に入る頃かな〜 その…

第30話 山の優劣

山の優劣 東京のある大学に入ったが一年もしないうちにやめてしまった。その頃若気の至りで小難しい本にかぶれ不眠症気味だった私は、東京という大都会になじめず孤独感にさいなまれていた。そのせいか、朝から晩まで数年前から病みつきとなっていた「山登り…